きっと、ぱるふぇ。

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具体・抽象を操る能力

前記事『コミュニケーション能力について考える』の続きとして、1つめは、具体・抽象を操る能力について考えていきたいと思います。

 

具体と抽象

今後の話で齟齬が出ないように、初めに言葉の意味を共有します。

 

まず、「具体」とは、実際に存在する個々の事柄や事物を指して使われていると思います。「具象」と言っても通常同じ意味として捉えられているでしょうか。意味がうまく共有できていなかったらすみません。「抽象」の意味を共有した後に、まとめて詳しく言葉の意味を考えていきたいと思います。

 

次に、「抽象」とは、個々の事柄や事物に共通している要素を指して使われていると思います。

 

辞書的(抽象的)で私が考えていることが伝わっていないかもしれませんので、掘り下げてどういった場面でこれらの言葉が使われているか考えたいと思います。

 

「具体」と「抽象」は階層の関係にあると考えています。これを「色」を例に考えたいと思います。まず、「具体的」に存在する個々の色は「緑」や「赤」などがあります。これは実際に目に見えるものです。さらに「透明」も実際に存在すると考えてよいでしょう。空気や水は光を透過するからです。

 

これらを「抽象的」にすると、前者に共通して言えることは「有色」である、ということです。一方、後者は「無色」ということになります。この世には”ない”という事象が存在すると考えても問題ないと思います。

 

ではこれらをさらに「抽象的」にすると、「有色」にしても「無色」にしても共通して言えることは、「色」ということになると思います。このように「色」は、「色」という言葉が最上位にあり、3層の構造になっていると考えることができるでしょう。これが上で述べた、「具体」と「抽象」は階層の関係にある、ということです。

 

言いたいことが伝わっていれば幸いです。

 

もう1つ別の例も見たいと思います。次は「植物」で考えてみます。植物には様々な区分があり、「果物」や「野菜」、「香草(ハーブ)」、「雑草」などと様々な括りが作られています。そしてその中に、より「具体的」な、「みかん」や「ほうれん草」などの植物の名前がついています。

 

ちなみに「果物」には「木になる実」という意味があるそうですので、植物を「木になるもの」「木にならないもの」に分けて、さらにその中で、「楓」や「紅葉」などの「実以外を食べるもの」や、「実を食べるもの」などと区分していってもいいかもしれません。

 

あまり深堀りしすぎるとかえってわかりにくくなりそうなので、このように「植物」も階層の関係になっていることが伝わっていれば今後の話が、私と同じ価値観で考えることができると思います。

 

具体と抽象を行き来する

私は、「具体」と「抽象」を行き来する力はコミュニケーション能力の一部だと考えています。適切に「具体的」または「抽象的」な言葉を使い分けることは、話の分かりやすさに繋がってくると思うからです。

 

例えば、「私は、あの赤くて辛い食べ物が好きです」と言ったとします。これは「赤い食べ物」という抽象的な言葉と「辛い食べ物」という抽象的な言葉で、ある食べ物を表現しようとしたセリフです。

 

なぜこれらの言葉が「抽象的」かというと、「赤い」「辛い」という特徴はいくつもの食べ物に当てはまる、共通する特徴となっているからです。

 

そして、こうした説明はわかりやすいでしょうか。およその方が唐辛子を思い浮かべたと思いますが、いつでもこのように抽象的に説明することはスマートとは言えません。したがって、「私は唐辛子が好きです」と「具体的に」説明する方が簡潔あり、コミュニケーション能力がある人だと考えます。

 

上記の例は、いわゆる「語彙力」がない人とある人では、ある人の方がコミュニケーション能力は高いと言えるでしょう、という話でした。

 

一方、「抽象的」な説明ができた方が簡潔な場合もあります。

 

「私が好きな色は、アマガエルや葉っぱのような色です」と説明すると、これもまたくどい説明に感じてしまうのは私だけでしょうか。「最初から緑って言えよ!」と突っ込みを入れたくなってしまうようなセリフです。このように、誰でも知っている一言で説明できた方がやはり簡潔な文になりますので、こういった場合は「抽象的」に説明する方がスマートに感じます。

 

相手に合わせる

こういった例はいかがでしょうか。「べき乗は演算です」と言われて、なるほどと思う人は少ないと考えています。これは「べき乗」という相手が知らない言葉を、「演算」という「抽象的」な言葉で説明しようとした例です。

 

私はそれなりに数学が得意だと信じていますので、上のように説明されてすぐに納得できます。しかし、数学に慣れていない方はこの説明で納得できないかもしれません。

 

では次のように説明したらいかがでしょうか。「べき乗はたし算やかけ算と同じように、2つの数からある規則に従って数を作るものです」このように「足し算」「掛け算」といった「具体例」を出して、長々と説明した方がわかりやすいのではないでしょうか。

 

つまり、言いたいことは「相手に合わせて具体・抽象を行き来する」のがコミュニケーションにおいては重要、ということです。「演算」の話にあるように、いつでも簡潔に説明するのが必ずしも適切ではないと思っています。

 

今回このような例で説明したのは、数学が好きではない人が多くいるということを私が認識しているからです。普段の会話でも、同じように、相手がその言葉を知っているかをよく考えてから発言するのが、究極的にはスマートといえるのではないでしょうか。